[フィリピンの家庭制度] 雇用機会提供を – メイドさんとの生活

今回はフィリピンの一般家庭の仕組みについてお話ししたいと思います。みなさまがフィリピン留学をされた際に一番関わるフィリピン人英語講師の方々の多くはきっと当てはまると思います。

フィリピンではお手伝いさんが住み込みで働いている事が一般的

日本では全くと言って聞かないメイドのシステムですが、フィリピンではごく一般的です。貧富、教育の差がまだあるフィリピンの現状では金銭的に余裕がある家庭で家族が共働き、小さくて面倒をみる子供がいる等の場合は、知り合いに紹介してもらったり、エージェントから紹介してもらう、オンラインで探す等の方法で住み込みのお手伝いさんが一人から2、3人います。

お仕事の内容としては、家事全般、料理は含む場合とそうでない場合(家の主が料理する場合)、ベビーシッター等です。朝5、6時に起床して家全体の掃除をし、洗濯、料理、昼食後は文化としてシエスタと言われるお昼寝の時間があり、午後はメリエンダと言われるおやつの文化もあり、夕方また料理、その他諸々家庭の状況に合わせて頼まれごとを引き受けるなどが一般的な関係です。夕食後は通常自由時間で実家の家族とテレビ電話をしたりして家族との繋がりを保ったりしています。お給与はの相場はメイド(家事一般料理含む)で月8,000ペソ(1万8千円程度)、ベビーシッターで月7,000ペソ((1万5千円程度)でしょうか。それぞれの家庭にや地域により前後します。

日本との違い

日本人の感覚だと、「自分の身の回りの事を見ず知らずの人にお願いするなんて」「自分のことは自分でやりなさい」と教わっていたりとなかなかお手伝いさんに家事をやってもらうのは気が引けるものがあるかと思います。「掃除、洗濯等に他の人を使うなんて、奴隷じゃないのに」なんて後ろめたい思いがありますが、これはフィリピンの考えでは違うのです。

冒頭でも書きましたが、フィリピンには市民内で未だに貧困の格差が存在するのが実際です。それを理解した上で、低所得層で教養がなく、職がない人がたくさんいます。たくさんの子供がいても職がない場合も。そんな人に大きな雇用機会を長い期間生み続けているのがこのメイドのシステムなのです。

通常、お給料とは別で食費、もちろん光熱費などの生活にかかる費用は賄われます。なので当人のお給料は本人の必要なものに使う事ができます。家族に仕送りをしたり、子供の学費を払ったり。メイドが盗難をして逃走したとかいうトラブルも聞きますが、その一方で、若い頃から住み込み、家族がいないので、そこの家にお世話になり続けて他へ行くことなく忠誠に働き続け、もはや完全に家族の一員となっているメイドのケースもよく聞きます。仕事として雇っているというよりも、住み込みで働いてもらいつつ、メイドさんとしいてはその家族とのお付き合いといった感じでしょうか。

今でも記憶に残っているびっくりした経験をシェアしたいと思います。

私の会社の同僚のフィリピン人の女性(当時30代後半)で両親がドクターのお家でした。彼女はお手伝いさんがいる家で育ったため、アイロンをかけた事がないとの事でした。アイロンはもちろんお手伝いさんのお仕事で、雇い主の娘がする事ではなかったからです。小学生の頃から母親に教わって自分で自分の洋服のアイロンかけをしていた私にとっては衝撃でした。

まとめ

いかがでしょうか。みなさまの留学には直接関係ないかもしれないですが、フィリピン家庭の事情を知っていると講師の方を理解するのにお役に立てる事があるかもしれないと思ってシェアさせていただきました。

私自身も長く住むにつれてフィリピン人の友人がガスコンロ使い方が分からない、洗濯機の使い方が分からない、なんて言っても驚かなくなりました。みんな当たり前のようにお手伝いさんのいる家で育っているからなんです。また、お手伝いさんに電話で夕飯のメニューをお願いしたりなんだか第二の母がいるような感じがあったりと日本人の私からは興味深いものでした。